『東京勿忘草子』について

で,話が前後するのだけれど,昼頃に御茶ノ水駅で千村さんとお会いした。直接本を購入して少し話をした。

帰りの新幹線の中で一気に読んだ。

東京に居たかった,と強く思った。僕は大学時代の長期休みに三鷹に住む友人の所に居候したり,西武線沿線に住む当時付き合っていた人の所に入り浸ったりという程度でしか東京の生活を知らない。自分が確かに東京の生活空間に居たという実感はまるでない。そしてそれは今の自分にとって非常に悔いている。もちろん,ここでいう「東京の生活」というのは観念的なものだ。別に東京じゃなくてもいいんだ,と思う。だから縁もゆかりもないところに今住んでいる。しがらみをつくらないつもりでいても,6年も生活していれば,ちらほらと出てくる。常に出ていきたいと思いながらも,それなりに生活している。でも,やっぱり,と。観念的な「東京の生活」は東京以外ではできないのだと,この本を読んで強く思った。

東京勿忘草子[花唄文庫]