2006-01-01から1年間の記事一覧

それから3年以上経つというのに僕は全然成長していない

灰谷健次郎『海になみだはいらない』を本屋で手にして,後ろの紹介文を読んで,あまり触れたくないのだけれど,でもたまには思い返すのも悪くないかと思えるような時期のことを思った。レジに持っていき,いつものように行き帰りの電車の中で少しずつ読んだ…

晩秋

この雨が止んだら秋が終わるはず。

声を出せ。

僕と彼女の間のコトバは音と表記を持っている。そして今,彼女はいない。僕はコトバの表記を黙読する以外の方法がない。 例えばそれは買い物メモ。メニューと日記。テクストは否応なしに展開していく。残るのは何? 無くなったものは? 無くなるべきものは何…

ねぇ。

ねぇ。 ここは真っ暗なんだよ。 こっちへおいでよ。 そこに寝ころんで。 そのうち目が慣れるなんて思わないで。 真っ暗ってどう?ねぇ。 月をつくったんだよ。 見たい? 目を閉じて。 スイッチを入れるから。ねぇ。 目を開けて。 ライトってまるいんだよ。 安…

──自分に降りかかる雨は払えるのに,相手に降りかかる雨は払えない。 そんな風にYは言った。僕はそんなの欺瞞だと思っていたし今も思っている。

ありがとう

「リアルなのにリアルじゃない,フェイクなのにフェイクじゃない,そういう,ふわふわした,浮遊感のある文章が好き」と僕の文章を好きだと言ってくれた人がいた。

コトバコトバコトバ

「言葉にすると浅くなるなあ,でも僕らには言葉しかないんだよね☆」とか「経験がすべてとはいわないけどさあ,経験したから判るって事もあるよね♪」とか,「そんな経験優越主義なんてまっぴらだ。僕らの想像力を馬鹿にするなヨ!」とか。そんな酔っぱらいみ…

おやすみなさい

耳をすませば──なにか聞こえてくる。 FMラジオを切って,パソコンの電源を落として,耳鳴りがした。キーンという高音が離れない。耳を塞いだ。塞げば塞ぐほどその音は鋭さを増していく。 布団に入り目を閉じた。眼前は真っ暗になるどころか,モーションエフ…

明日休みたいからこのまま微熱が下がらなければいいと思っている。

僕はきっと駄目になりたいだけなのだ。

仮に十年後が本当に十年後に来るとして。

「相変わらずなの?」 「え?」 「食事するの,今も面倒?」 「うん。基本的には面倒だな,と思う」 「そっか」 「気になる?」 「いや,別にそんな,ねぇ。他人がどうしようとわたしにはあまり関係ないというか」 「そうね。それがいいよ。他人のことを気に…

「ススキってどこに生えてるの?」 「ん? その辺にあるでしょうに……」 「ないよ」 「見えてないだけですがな。帰り道にいくらでもあると思うが……」 「ふーん」 「うん」 「お月見した?」 「あのさぁ……大雨だったでしょ?」 「あ,そうか」 「忘れたの?」 …

意味論

君が忘れても私は忘れないものがあると信じていると言った君がいなくなった。

記憶

語る場と語りを共有できる相手を失った記憶はどうなるか知っていますか? 日常の生活に埋もれてしまうんです。ちょっとやそっとじゃ呼び起こせない程度に埋もれてしまうんです。

何もなかった

「夏が終わった」 「何もないね」 実際のところ,7月や 8月に何もしていないわけはないのであって。 「何もない」と言えば楽になれる。対話の拒否。 「あったこと」を「なかったこと」にするとか,失敗したことの責任を取らずにしてしまうとか,そうやって,…

お茶でも飲もうって言ってみたいんだ

理解して欲しいなあと欲するのは悪いことじゃないと思うのだけれども,結局の所自分が理解して欲しいのは何か,という所から考えなくてはならないのだと思うと億劫で。伝えたいことが明確にあるわけじゃなくて,なんとなく伝えなきゃならないという状況がも…

幸福論

君は幸せだろう。馬鹿だから。 馬鹿ってさ,過剰な余剰な一切を持たないんだよ。恐ろしく中味がない。その中味の無さが恐ろしくて,僕は馬鹿にはなれない。

誰かの重荷にならないように,その人を想うには,その想いを口にしてはならない。もう少し厳密にいうならば言語化できる可能性を潰すことだ。だから,沈黙は意味をなさない。

ドミナント

テクストは読まれ得る。テクストは読まれ得ない。 僕の作ったテクストは読まれ得る。僕の作ったテクストは読まれ得ない。 僕の作ったテクストの行間が読まれ得る。僕の作ったテクストの行間が読まれ得ない。 僕の作ったテクストのコンテクストが読まれ得る。…

意気込む

お酒を飲むと,どうしようもなく笑いたくなったり,泣きたくなったり,死にたくなったりするのですごく体力を使うような気がします。体力に自信があるわけでもなく,肉体的なものをあんまり要らないな,と思っているような私としてはこれはキツい訳です。泣…

あまりに馬鹿馬鹿しく

波がやってくる。 莫然たる静寂。とても耐えられなくて友人のところに行ったり実家に帰ってみたり。 だいたい日曜日と月曜日。 「寂しかったら寂しいって言ったらいいじゃん」 「言ってるじゃん」 「あ,そうだね。でも私にはどうしようもない」 「知ってる…

どうしようもない未来

天の川すら肉眼で見ることができる空を,こんな素敵な夜空を貴女にも見せてあげたかったよ−− 死んでしまう前に僕のところに来れば良かったじゃないか。

夢を見たのは君か?

そこにあるものは常に両義的である。それは常に記号として存在する。例えば,ここ数日見た夢の中で,私が性交した相手は,具体的なある女性,ではなく「女性」という観念にかかわるものであり,具体的な男性,ではなく「男性」という観念に関わるものである…

耳をふさげ

帰り道,雨。そして雷。さらに花火。いったい何故夜空が光っているのか,あるいは何故音が聞こえるのか,ぼーっとしながら目を閉じているとわからなくなる。車って密室なんですね。屋根に落ちる雨音とか。息づかいとか。寝息とか。服が擦れる音とか。